弁証論治トレーニング㊲ 心脈瘀阻証
こんにちは。
先日、第3期の生徒さんが卒業されました~おめでとうございます!㊗㊗㊗
最終回の授業はいつも「あー…ちゃんと全部教えることができたかなぁ…。」と少しだけ不安になってしまいます。
でも大丈夫、みなさんは あんなに一生懸命に勉強したんですから! 自信をもって薬膳道を歩んでくださいネ。
この時期、弁トレを見てくださる方が急増しており、ありがとうございます。
試験対策の方が多いのだろうと思うので、なんとかお役に立てるよう努めます。
できれば弁トレだけをまとめ直し、簡単な本にしたいと考えているところですが、今年中には?な進み具合なので…またご報告します。
今回は、気滞血瘀証を担当していただいた 1期卒業生Oさん の弁証第2弾です💛 とても詳しくまとめていただき、ありがとうございます!

心脈瘀阻証㊲
主な症状
心悸(不安感を伴う動悸)、胸悶(胸痞・胸が痞える)、心臓周辺部・背中・肩腕に針で刺すような痛み、突然の痛み、冷え、脈細渋、脈結代(不整脈)、舌が紫紺、瘀斑、痰多、肥満、身体が重い、膨満感、舌苔白膩 など。
症状の分析
心悸、胸悶 → 心気不足により、正常な血液循環が行われないことと、心が養われていないことがうかがえます。
心は「血脈を司る」、心の働きは心気です。
心臓周辺・背中・肩腕に針で刺すような痛み → 心気不足や、気虚のさらなる悪化(陽気の虚衰)で血液循環が悪くなり瘀血が形成されていると思われます。
心脈が阻滞されると心区を中心に痛みが生じ、ひどい場合は肩や上腕部内側・背中に向かって放散するように痛みます。
突然の痛み、冷え → 心気不足が進行すると心陽虚衰となり、冷えの症状が引きおこされます。
突然痛むのは陽気虚衰で寒邪内盛となり、気血の流れが阻滞され「不通則痛」となるためです。(心陽は血脈を温喣し運行させる)。
舌が紫紺、瘀斑 → 血液循環の低下により瘀血が生じているためです。(瘀斑は瘀点の大きいもの)
心気不足、心陽不振により心の「血脈を司る」働きが低下しているためと考えられます。
痰多、肥満(むくんだ感じ)、身体が重い → 気虚や陽虚の症状として、気機の停滞や他の臓腑の機能低下も考えられます。
水液代謝や気化作用も低下するので湿濁がたまりやすく、痰湿が形成されやすくなります。
痰湿が気機を阻滞すると、脹れて痞えるような痛みや膨満感を引きおこすなど、さまざまな病因が複雑に絡み合い悪循環となりやすく、複雑化してゆきます。
舌苔白膩 → 白膩苔は寒湿や痰湿の存在を示しています。(苔白滑…気虚・寒湿内停の症状例もあります)
脈細渋・結代 → 細は気血虚衰や湿病など、渋は気滞血瘀など、結は心陽虚・寒痰瘀血・陰寒内盛などによる不整脈(軽症)、代は心気虚・臓腑虚衰による不整脈(重症)をそれぞれ示しています。
弁証・・・心脈瘀阻証(心血瘀阻証・心血瘀結証)
立法・・・活血化瘀通脈(通陽化瘀)
方剤・・・血府逐瘀湯 など
いかがでしたか?ちょっと難しい弁証ですね。
多くは老化・臓腑機能の低下・慢性病などにより陽気不足となり、さらに気機の阻滞なども原因となり痰湿・瘀血が生じて血流が阻滞される状態となります。
心筋梗塞だと発作が出て、症状の緩和には時間がかかりますが、この証の場合は突然症状が出て、わりとすぐに緩和することから重症ではないことがうかがわれます。
冬に発症することが多い証です。
なお治療原則は「瀉」と「調」です・・・・瘀血を瀉して、血流を調整します。

心脈瘀阻が「標」で、心気虚・心陽虚は「本」ですね。
標に対して治療を施し改善したのちは、本である虚証を補います。
ところで、症状をよく分析し説明に合理性があれば、弁証が違ってもいいのですョ。
たとえば気虚血瘀証や、心陽虚と気滞血瘀証など…テキストはできるだけ分かりやすくまとめたものなので、みなさん自身で分析して証に収めてみるのもよい勉強です。
お付き合いいただきありがとうございました。
この投稿へのトラックバック
トラックバックはありません。
- トラックバック URL
この投稿へのコメント