弁証論治トレーニング㊱ 肝脾不和証


こんにちは、今朝から雪が降り続いていて寒いです! 部屋でゆっくり勉強日和ですネ。

実は私…長年の肝脾不和証者でして、気滞体質で、あーで、こーで…と自分の身体のことが少しわかったのは、中医学を学んだおかげだなぁ~と思います。

今回は、1期卒業生のMさんに弁証をお願いしました。


Maialisa / Pixabay

肝脾不和証㊱

五臓六腑は互いに機能を促進し、制約しあいながら人体を一つの整体としています。

肝と脾は五行の順序に従って、肝が祖・脾が孫の祖孫関係になります。

肝脾不和証は多くの場合、肝気鬱結が脾の運化機能の失調を招くことで引きおこされる病証です。

 

主な症状

脘腹部の脹満感や痞え、下痢、腹痛は排便するとよくなる、おならが多い、胸肋部が脹って痛む、イライラと怒りやすい、躁鬱、ため息、舌苔白膩、肝脈が弦・脾脈が弱 など。

 

症状の分析

脘腹脹満、痞え、下痢、食欲不振 → 肝の「疏泄を司る」働きには、気機を通暢(スムーズに巡らせる)させて臓腑の働きを正常に保つことがあります。

脾気を上昇させ胃気を下降して中気を調え、脾の「運化を司る」働きを助けて消化吸収を促進します。

ストレスや抑うつ・怒りなどが原因で肝気が鬱結して気機が阻滞すると、その影響が脾におよびお腹の症状が現れるのはそのせいです。

ストレスや緊張不安などが引き金となり、急に症状が現れることもあります。

脾胃の気の滞りで運化失調となり、水液代謝は低下し過剰になった水分が下痢となります。また大腸の気が滞ると糟粕が運ばれず便秘になることもあります。

脾胃・大腸の気機が阻滞すると、脹満・痞え・食欲不振・ガスが溜まりやすくおならが多いなどの症状が引きおこされます。

排便により気の滞りが一時的に解消されるため、下痢や腹痛は治まります。

 

胸肋脹痛 → 胸肋部・脇には肝の経絡が通っているため、気が経絡に鬱滞すると脹れるような感じや脹痛が現れます。

 

易怒・躁鬱・ため息 → 肝の「疏泄を司る」働きには精神・情緒の安定と維持があり、なかでも負の感情が関わるものを調節するのは肝だけといわれます。

肝気は伸びやかに発散することを好むため、ストレスや抑うつ・怒りなどの感情により鬱結しやすく、情緒に症状が現れてきます。

ため息は、気機の鬱滞を解消しようとする無意識の行為です。

 

舌苔白膩 → 脾の「運化を司る」働きが失調し、脾気不足や水湿が滞っていることがうかがえます。

 

肝脈弦・脾脈弱 → 脈弦…とだけ書かれていることが多いのですが、脈診では三部九候(寸・関・尺、 軽・中・重)を学ぶので例としてあげています。

肝の脈は左手の関部、脾の脈は右手の関部で切診することを思い出せましたか?肝の病証と脾気の虚弱があることがわかりますね。

 

弁証・・・肝脾不和証(肝脾不調証)

立法・・・疏肝健脾 

方剤・・・逍遥散

逍遥は…文学表現の中で、魚が海から出て大空を心のままに自由に飛んでいる…そんな様子だそうで、鬱結から解放し楽しくさせる方意に重ねた名前だと聞いたことがあります。

MAXIMUMEFFORT / Pixabay

疏肝解鬱に優れる柴胡を君薬とし、血を養う当帰・白芍を臣薬、健脾に働く白朮・茯苓・甘草を佐薬に、ほか数種の中薬で構成されています。

肝脾不和証は、肝気鬱結・血虚・脾失健運が互いに因果関係を持つ「肝乗脾土」「肝木克脾土」、つまり肝気が亢進しすぎて脾の虚弱湿滞に乗じる状態です。

多くの場合、内傷七情により肝の疏泄機能が失調すると陰血を消耗し、また脾の運化機能を促進できないことで気血の生成が不足し肝血(肝陰)不足となります。

肝陰不足は相対的に亢進する肝陽(肝気)を制約できなくなるため、疏泄機能が失調するという悪循環になるのです。

逍遥散の中に養血類の中薬が配伍される意味がよくわかりますね。


とても詳しく分析されていますので、みなさまの理解に役立ててくださいネ! またほかの五臓六腑の関係性や臓腑兼証についても復習してみてください。

お付き合いいただきありがとうございました

 

 

この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL