弁証論治トレーニング㉞ 血寒証
こんにちは。
秋ごろから突発性難聴になり、悪化も改善もしないまま年を越してしまいました。
慢性的な耳鳴りと、ときどき起きる強い耳閉感をやり過ごしながら、まぁ元気な方だしいいか?と思っていたのですが、きのう突然に激しいめまいに襲われて病院送りになりました。
耳鼻科に加え、鍼灸治療に通いだし中薬方剤も試し始めたところで、おぉ!もしかして瞑眩(めんげん)?と興奮しましたが、ぐるんぐるん回る頭と悪心で考えるのをやめました…早く好くなることを願うばかりです。
今日は家で静かに、弁トレの更新を…。

血寒証㉞
血寒証とは、虚弱体質や陽気の不足(陽虚)で内寒が生じる、あるいは寒邪が直接臓腑に侵入するなどして血脈のスムーズな循環が阻滞され、気滞と血瘀が生じることで冷え・疼痛などの症状が現れる症候群です。
主な症状
冷え、疼痛、顔色が紫紺または蒼白、症状は温めると緩和する。生理痛、生理不順、舌質淡暗苔白、脈沈遅渋など。
症状の分析
冷え、疼痛・顔色蒼白または紫紺、温めると緩和 → 陽虚では、陽気が不足し巡る力も弱いため身体を温めることができません。
気虚の悪化が陽虚に進むこと、気血同行という点からも陽虚では気血の巡りが緩慢になりやすいことがわかります。温喣・営養されないと血色悪く冷える症状が現れます。
寒邪の侵入では、寒邪の凝滞性・収引性の特徴からやはり気血の巡りを阻滞させやすいことが原因になります。
寒は痛に通じる…は「不通則痛」といいますね。
気滞と瘀血を生じやすくなり、紫紺・疼痛の症状が引きおこされます。瘀血には4つの特徴がありますのでここでおさらいを…。
①紫紺・・・顔色や唇が紫紺、瘀点や瘀斑が舌や皮下に生じる、経血に紫紺の塊がある、舌下静脈が紫紺。
②疼痛・・・刺痛で固定痛、触ると痛みが増し夜になると悪化する(夜は陰の時間で血は陰液、昼は陽の時間で気は陽気)
③腫塊・・・気滞血瘀の状態では瘀血の塊が生じやすくなる、経血にレバーのような紫紺の塊がみられる。
④出血・・・気滞血瘀で瘀血が生じると、本来の巡行ルートを流れることができなくなった血が血脈外に漏れ出てしまう。瘀点瘀斑などとして現れるほか、ひどいと脳出血なども引きおこす。
温めると緩和 → 温めて陽気の巡りが改善すると冷えの症状がやわらぎ、気血の滞りによる「不通則痛」の状態が緩和されます。
生理痛、生理不順 → 寒邪が衝任脈を侵すと、やはり血脈の凝滞を引きおこします。
生理は遅れがちで経血量は減少、暗紅色~紫紺の血色で紫紺の腫塊がみられます。小腹部に冷えや疼痛があり温めると緩和します。
舌質淡暗苔白 → 気虚から陽虚によくみられます。暗は、冷えの強さで薄青い色~紫紺へと変わります。苔白は陽気の巡りが悪く湿が停滞していることをうかがわせます。

脈象 → 沈・遅は虚証や寒証を、渋は血の滞りが疑われます。
立法・・・温経散寒
方剤・・・四逆湯(しぎゃくとう)
これは強く温める大辛大熱の附子(ぶし)が君薬、同じく大辛大熱の乾姜が臣薬、炙甘草が辛烈な薬材の調和緩和と、温中益気に働く佐使薬の構成です。
ところで名前が似ていてまちがえやすい方剤に「四逆散・しぎゃくさん」があり、こちらは調和肝脾に働き、肝脾不和証などに用います。まちがえないでくださいネ!
お付き合いいただきありがとうございました。
この投稿へのトラックバック
トラックバックはありません。
- トラックバック URL
この投稿へのコメント