弁証論治トレーニング㉛大腸液虧証


こんにちは。

2回にわたって大腸の熱証の勉強をしましたが、いかがでしたか?

今回は、燥熱による便秘を主症とした症候群です。

domeckopol / Pixabay

大腸液虧証㉛(だいちょうえききしょう)

 

主な症状

便秘、排便困難、のどが渇く、めまい、口臭、舌紅少津、脈細渋 など。

 

症状の分析

便秘、排便困難、のどの渇き、舌紅少津 → 身体の陰が消耗または不足していることが疑われます。

血虚・陰虚の症状がみられないことから、津液の不足が考えられます。

腸内の津液が不足し、糟粕を伝導できず便は燥結しやすくなり、排便困難になります。

舌質紅から、津液不足(陰の不足)により内熱が生じているものと思われます。

 

めまい、口臭 → 便秘により腸胃の気機が阻滞され、濁気が上逆し引きおこされます。

 

脈細渋 → 細脈は、気血や陰の虚損にみられる糸のように細い脈で、渋脈で無力は精血不足にみられる脈象です。

 

弁証・・・大腸液虧証

 

立法・・・滋陰清熱 と 潤腸通便

 

方剤・・・増液湯


大腸液虧証は、陰虚の体質や慢性の疾病による津液の不足、大出血・貧血などにより、また発熱病の回復期に津液不足の状態により引きおこされる、大腸乾燥の症候群です。

症状のなかに熱証を示すものはありませんが、陰を消耗していることにより内熱を表すものも含まれます。

陰虚や血虚の症状とよく見比べて、区別できるようにしましょう!

 

                                           治療の原則は「補」と「瀉」、ここでは滋陰と清熱・通便です。

Myriams-Fotos / Pixabay

大腸液虧証の便秘は、腸内の便が燥結している状態を無水停舟(むすい

ていしゅう・水のない川の進まない舟)と表現し、治療法を増水行舟(ぞうすい

こうしゅう・川の水を増して舟を浮かべる)をほどこす…と表現します。

中医学の表現には、このように文学的なものが多くていつも面白く感じます。

 

次回も弁証論治トレーニングの予定です。

お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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