弁証論治トレーニング㉘ 心陽虚証


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こんにちは、今日はひさびさに「心」の病証についてです。

心といえば、夏に働きが盛んになり…ということで、夏にしっかり勉強しておくべきところでしたが、暑さと忙しさに負けてほったらかしにしてしまいました。

という言い訳ですが、またお付き合いください!


心陽虚証㉘

心というのは五行の「火」に属し、五臓の中では最も熱い臓です。

心の働きを「心気」といい、気の虚弱が進むと陽虚になりやすいといわれる通り「心陽虚証」に進行することが多です。

主な症状

顔色が蒼白、自汗、心悸、息切れ、胸悶、精神不振、畏寒、手足が冷たい、胸と背の冷えと痛み、肩こりや心臓周辺部の痛みが夜になると悪化する、舌質淡胖苔白滑、脈微細ときに結代 など。

症状の分析

顔色蒼白・自汗・心悸・息切れ → 心気虚の主な症状です。

「気」には身体や臓腑を温煦する作用があり、気虚の状態が続くと陽気も虚してくるため内寒が生じ、冷えの症状が加わってきて陽虚へと進行しやすくなります「気虚は陽虚になりやすい」と覚えておきましょう!

つまり、病証の名前が気虚証と陽虚証に違っても、陽虚証には気虚証の症状が含まれているというわけです。

 

「心は血脈を司る」働きの低下、さらには気生血・気血同行の点からみて、血の生成不足や循環の低下により酸素の供給が不足すると、心悸・胸悶・息切れが引きおこされます。

 

顔面蒼白 → 心の華は顔に現れることから、血によって営養されない状態を知ることができます。

陽虚証では(気虚証も含め)、一般的には五臓の働きが全体的に低下していることが多く、気化作用も低下し水液代謝が低下していることが多いものです。

すると湿が停滞しやすくなり、むくみのような症状がみられます。

陽虚証の顔色では、白くむくんだ感じの表現として「晄白」(こうはく)が使われることも多いですョ。

 

精神不振 → 心気虚の症状です。

「心は神志を司る」働きは、生命反応の正常や、精神状態の健康に関わります。

神志は血によって営養されています。

 

自汗 → 汗は心の液です。(五臓と五液の関係を思い出しましょう!)

自汗は気の固摂作用が低下すると、気温や運動などに関係なく汗が漏れ出る状態ですが、心気虚では自汗はいっそうひどくなります。

 

畏寒 → 陽気が虚弱になり内寒が生じてくると、身体を温めることができなくなります。

畏寒とは、寒気を感じて温めるとよくなるもので、表証のときに正気と邪気の攻防で生じる悪寒(温めても緩和しない・外感邪気を除かないと改善しない)とは違います。

畏寒は陽虚証の時によく使われる表現ですョ!

 

心臓周辺部や胸背痛、肩こり、冷え → 寒邪は凝滞性があり、気血の流れを阻滞させ痛みを引きおこします(不通則痛)、心陽が虚衰して心の周辺を温められず心・胸・背・肩などに冷えを感じます。

寒邪は陰邪ですから、陰の時間すなわち夜にはいっそう盛んになり、症状がひどくなります。

 

手足の冷え → 気血の流れが悪くなり陽気が巡らないことと、陽気の不足が考えられます。

 

舌質淡胖苔白滑 → 気虚や陽虚の舌象で、胖はぼてっと緩んだ感じです(舌辺に歯型がついているケースもあります)。

舌苔は、湿の停滞があることを表しています。

 

脈微細 → 「心は血脈を司る」働きが低下しているため、脈に力がありません。

心の働きの低下がひどくなると、結代(けったい)といい不整脈を生じることもあります。

 

弁証・・・心陽虚証

立法・・・助陽散寒・温通心陽

 

方剤・・・参附湯

益気生脈の第一薬である人参と、大辛大熱の附子(ぶし)で構成されています。

附子はトリカブトの根茎のことで、親芋に当たる部分を烏頭(うず)、子芋の部分を附子と分けています。

トリカブトは猛毒ですから、高温加圧などの加工を施し毒性を減じたものが中薬として使われることが多いです。

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伝統芸能の狂言に「ぶす」という演目があり、留守番の太郎冠者と次郎冠者に、桶の中の甘い砂糖を食べられてしまわないように主人が、「これは ぶす という毒だから絶対に触らぬように…」と嘘をついておこる騒動の物語がありますが、この ぶす は附子のことだったんだなぁ…と、薬膳学を勉強するようになってから知りました。

また、大昔には薬として有用なものの中でも、効果が強すぎるものを毒と呼んだことや、毒と薬は紙一重なのだな…ということを思い出させてくれる中薬のひとつです。

お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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