続々 急な胃腸障害・弁証論治トレーニング㉓


mcmurryjulie / Pixabay

これも急性、一過性のものが多い胃の病証です。胃の症状と熱証が現れる実証です。

今回は「夏に多い…」ではありませんが、よくある胃の病証としてご紹介します。


症例㉓・・・胃熱証(いねつしょう)

16才・男性、予備校の強化合宿に2週間参加している。

もともと参加したくはなかったし、連日厳しくハードなスケジュールでとてもきつく感じている。

食事は毎日、主にコンビニの焼き肉やから揚げ弁当で、間食は辛いスナック菓子ばかり好んで食べる。

あと数日で終わるのだが、昨日から胃脘部に灼痛(焼けるような痛み)や痞える感じがあり、のどが渇き冷たいものばかり飲みたくなる。

胃は痛むがお腹がすき、よく食べる。歯茎が痛み、口臭が強くなったように感じる。便秘している。

 

症状の分析

強化合宿に嫌々参加している → ストレスが溜まってきていると思われます → 気の流れが滞り長期化すると熱化します。

邪気や気・血・痰湿などが長期間滞ると、熱化し熱や炎症性の症状が現れます。たとえ、もともとの邪気が寒涼性や、陰邪であっても滞り鬱滞すると熱に転化するのです。

食習慣 → 合宿中は、脂っこいものや辛い刺激物を食べ過ぎています。胃に熱がこもりやすくなります。

胃脘部に灼痛と痞え → 胃に熱が盛んになっていると思われ、胃の働きも失調しているようです。

お腹がすきよく食べる → 胃熱で胃の機能が亢進しすぎていると思われます。消穀善飢(しょうこくぜんき・食べても食べてもすぐにお腹がすく)という状態です。

のどが渇き、冷たいものを欲しがる → 熱がこもっていて、津液が消耗するためと考えられます。

renatalferro / Pixabay

歯茎が痛む、口臭が強い → 虫歯や歯周病などの歯の疾患はないので、口と歯茎をまとっている経絡が関わると思われます。

胃腸の経絡「足陽明胃経」(あしようめいいけい)「手陽明大腸経」(てようめいだいちょうけい)は歯茎を通っています。

胃腸の盛んな熱邪が経絡を通じて、歯茎の痛みや口臭となって現れていることが疑われます。また、胃の状態は舌苔に現れるので、熱により舌苔は厚くなり口も熱っぽくなりますから口臭も強まります。胃で腐熟された飲食物の臭いも熱で上がってきやすくなります。

便秘 → 胃熱が腸にも伝導し、大腸の津液を消耗して便が乾きます。

 

弁証

胃熱証

 

立法

清胃瀉火(せいいしゃか)


 

胃腸の熱は「陽明の熱」といいます。中級以上の方は六経弁証を思い出してみてください。

ところでこの「胃熱証」には3つの特徴があり、「歯茎の疼痛」「口臭」「便秘」です。見分けるときのポイントになりますね!

そのほかの症状として、尿赤短(尿量が少なく濃い)・歯茎の出血・胃の出血・舌紅苔黄・脈滑数などが現れることがあります。

 

胃の熱を取り除く方剤として「清胃散」(せいいさん)というものがありますが、歯科ではわからない歯の痛みに使われることがあります。

薬膳処方としては、まずは現状の食生活を改めて胃を休ませ、清熱滋陰のもので胃熱を清して胃を潤すように働きかけます。

胃は、脾とは反対に喜潤悪燥(きじゅんおそう・潤っていることを好み、乾燥を嫌う)の性質があります。

 

次回は胃の働きについてです、お付き合いいただきありがとうございました。

この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL