続 夏に多い急な胃腸障害・弁証論治トレーニング㉒


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冷たいものや生ものの食べ過ぎ、寒邪が直接侵入すると、急性の胃の症状が現れることがあります。

脾胃の病証では多くの場合、臨床では脾と胃のどちらの症状も見られることが多いです。

脾胃は協力して飲食物を受け入れ、身体に必要なものを作り出す役割りをしているので、脾と胃のどちらかだけが失調して、もう一方が快調であることは実際には少ないのです。

ですが五臓の勉強や弁証論治トレーニングでは、わかりやすくするために症状がすべて書かれていないこともあります。

今回と次回の胃の弁証論治トレーニングで、原因が似ている脾の病証との症状の違いを確認してみましょう。


症例㉒・・・胃寒証(いかんしょう)

30才・男性、7月10日受診。

昨日企業セミナーでのこと、よく冷房の効いた部屋で5時間講演を聴講、途中休憩の時にアイスコーヒーを飲んだ。その後、講演中に急に胃がひきつるようにひどく痛みだした。手足が冷たく、下痢をした。心配した会場スタッフに救護室に案内され、温かくして休んでいると痛みはおさまった。

 

症状の分析

7月に冷房の効いた部屋で長時間 → 薄着で、あるいは汗をかいた状態で長時間冷房の効いた場所にいたことから、寒邪の影響が疑われます。

アイスコーヒーを飲んだ → セミナーの前や途中に食事をとったかは不明ですが、身体がかなり冷えているところに冷たい飲み物を飲んでいるため、脾胃が冷えたことが疑われます。ちなみにコーヒーは寒涼性です。

急な胃脘部のひきつるような痛み → 急性であることから感染症も疑われますが、ほかに症状のある人はなく、それ以前に感染を疑わせる記述もありません。

寒邪により、気血の流れが阻滞されて「不通則痛」になっていると思われます。寒邪は凝滞性・収引性の特徴があり、ひきつるような痛みをひきおこすことがあります。

手足が冷たい → 陽気がめぐらないため、冷えの症状が現れていると思われます。

下痢 → 冷えにより運化が失調していることが疑われます。この場合の下痢は、水様性の薄い下痢で臭いも少ないことが多いです。

温めて休んでいると緩和した → 温めて気血の巡りがよくなり、痛みが緩和したものと思われます。

 

弁証

胃寒証

 

立法

温胃散寒止痛など。


胃寒証では、下痢以外には脾の症状がほとんど書かれていません。

たとえば夏に多く、生ものや冷たいものの過食などが原因で、寒邪と湿邪が関わる「寒湿困脾証」ですと体重い・むくみ・顔色が萎黄などの脾の症状が多く書かれていますね?

胃寒証は、よく書かれている症状として・・・胃脘部の突然の疼痛、温めたり食後に緩和する・顔色蒼白・四肢の冷え・尿清長・下痢・のどが乾かない・舌淡苔白・脈沈遅 などがあります。

 

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立法は温胃散寒止痛ですが、このような冷えによる急性の腹痛は、湯たんぽやカイロなどでお腹を温めたり、温かい白湯を飲ませるなどが有効です。

では薬膳をどう考えるといいでしょうか?胃の症状、中でも実証の場合は何かを食べさせるより休ませるほうがよいことが多いのです。虚証でも、刺激の少ない液状のものを少しづつ、様子を見ながら…が胃の負担になりません。

たとえば胃寒証では、急いで外からお腹を温めて、痛みが緩和したら熱い紅茶に、あれば生姜や黒糖を加えたものを少し飲むと、お腹の中からも温まるでしょう。


次回も胃の病証で、弁証論治トレーニングです。

お付き合いいただきありがとうございました。

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