「梅雨は脾」やさしく解説・中医学から見た五臓の働き


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中国では、二十四節気の大暑・立秋・処暑・白露の4つの節気の間を「長夏」(ちょうか)といいます。

これは黄河流域では最も暑くて雨が多く、農作物が成長する時期で、旧暦の6月末~7月末に当たります。

一方、長江の中・下流では5月に「黄梅雨」といわれる雨の多い季節になり、長夏と梅雨は1か月ほどずれていることになります。

日本では、沖縄から東北地方まで多少の時期のずれはありますが、本格的な夏の前に雨がたくさん降る「梅雨」を迎えますね。

今回からは、梅雨の季節特徴や五臓の養生などについてまとめたいと思います。


脾の働き

脾は五行学説では「土」に属しています。

五行学説とは、古代社会ではなくてはならない自然界の5つの重要なもの 木・火・土・金・水 の特徴と、自然界での循

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環に当てはめて、五臓の性質や働き、互いの関係性を研究した学説です。

土は動植物などの生命が誕生し、成長、生活する基盤です。中国国土の中央に位置する中原は、雨によって湿り気を保ち、暑くもなく寒くもない自然条件で豊かな実りをもたらすので土に属します。

脾は胃とともに体の中央に位置し、食べ物を消化吸収して水穀精微(飲食物を消化吸収して作られた営養物質のこと)に変化させ、身体に栄養を供給し成長させる働きをするので土に属すると考えられたのです。脾土という呼び方もありますョ。

 

 

脾の概念

脾は五臓の1つです。脾臓の「脾」という文字で表されますが、解剖学的にみた脾臓そのものを指しているのではありません。

中医学でいう「脾」は横隔膜の下、腹部に位置する重要な臓です。脾は、胃と協力して食べ物を消化吸収し水穀精微を作り、そこから気・血・津液・精を生成して身体を営養し、水を代謝するなど生命維持の基盤となっています。いわゆるセントラル工場のような役割といえるでしょう。

このような機能から脾は古典では「倉廩の官」(そうりんのかん)すなわち倉庫を管理する役職と呼ばれます。

また、誕生するときに両親から先天の精(発達・発育・生殖などに関わる重要な物質)をもらって蓄える腎が「先天の本」と呼ばれるのに対して、脾は日々食べるものから身体に必要な物質を作り腎に送って蓄えるので「後天の本」とも呼ばれます。

そして五臓六腑の中には表されていませんが、解剖学でいう脾臓や膵臓の、酵素などを分泌して消化吸収に関わる機能をも含めて「脾」という1つの臓だと位置づけているのです。この脾は、西洋医学の情報に慣れ親しんだ私たちには、なかなかうまくイメージできない概念ですね!ゆっくり学んでいきましょう~。

余談ですが脾臓という臓器は、昔は西洋医学では、大人になるとあまり機能しない臓器だと考えられていたそうです。肥大すると出血しやすく、事故などで損傷すると出血が多く止まらない…寄生虫が出やすい…などの理由でトラブルがあると摘出されることが多かったそうです。

東洋では思想的に、中医学でも整体観念という考え方により、もともと臓腑に問題が生じても摘出するという選択肢はあまりとりませんが、現代では脾は西洋医学においても免疫システムへの関与が解明されるにしたがって注目される臓器になっています。

脾は、経絡を通じて胃と表裏の関係にあります。脾と胃の働きをまとめて中気(ちゅうき)といいます。脾胃の働きを補益することを「補中益気」(ほちゅうえっき)と表現したり、脾胃のために処方された方剤に「補中益気湯」というものや「安中散」などがあります。立法や方剤に「中」の文字があれば脾胃に関わる内容だとわかる手掛かりになりますね。

次回からは、脾の生理機能についてです。

お付き合いいただきありがとうございました。

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