薬膳的きょうの献立は、梅といりこのご飯・・・
こんにちは! 前回は「菜の花と豚肉のザーサイ和え」をご覧いただき、春の体調管理には滋陰類をお勧めするというお話でした。
今回は、そのときに作ったご飯のレシピです。包丁を使わず超簡単なので、レシピといっていいものか?…です。
梅といりこのご飯
材料(米2カップ分として)
米2カップ、いりこ適宜(鮮度のいいもの・大きさはお好みで)、梅干し3個程度(昔ながらの酸っぱいもの)
作り方
①米を洗ってザルに上げておく。
②炊飯器に、米を通常の水加減に準備する。
③炊飯器の米の表面が見えなくなる程度に、いりこを散らす(ひとつかみ程度)。
④いりこの上に、梅干しを種つきのまま丸ごとのせて、ふつうに炊飯する。
⑤炊き上がったら梅干しの種を取り除き、全体をさっくり混ぜ合わせる。
ポイント
いりこと梅干しのどちらにも塩気があるので、好みで加減するとよいです。梅干しは種ごと炊きこむと梅の風味が増します。赤シソ漬けのシソも一緒に炊き込めますョ。
いりこはなるべく新しいものを使うことをお勧めします。ちょっと冷蔵庫に長居してたかな?なときは、頭とワタの部分を取り除いて使うと雑味が軽減されます。
経験では、大ぶりのいりこの方がちびっこには受けがよかったのですが、中にはお魚の目が怖い~…というケースもあり、頭を取るかどうかはおまかせです。かえりちりめんサイズならお上品な印象に、大きないりこだとワイルドな印象になります。
材料の米とイワシ(いりこはカタクチイワシです)は補気類に属し、補脾益気の作用を持っています。五臓の「脾」は食べた飲食物から体に必要な気・血・津液・精を作り出す重要な工場の役割を担っていて、私たちが「しっかり食べてお腹を充たし、元気を出す!」というのは、補脾益気と同じ内容だといえます。脾を健やかに保ち、五臓六腑に営養を送り元気に過ごすことは一年中を通して大切なことです。
でも春の薬膳ですよね?そこで梅干しといりこです。
春は五臓の「肝」の働きが盛んになります。肝の陽が亢進しすぎるとのぼせたり、イライラしたり、情緒が不安定になったりします。酸味は肝に入りやすい味とされ、適量使うことで肝の興奮を抑える作用があります。
梅干しの酸味を利用しましたが、紅い色も春先の紅梅を思わせる気がしませんか…?
いりこは、干されて小さいので食べる目的の一つは「カルシウム」ですね。栄養学では、カルシウムが不足するとイライラなどの精神的な不安定につながるといいますが、中医学にも同様の考え方があります。
安神類といって、精神的な不安定を鎮める作用を持つ中薬には「龍骨」というものがあり、大型哺乳類の化石を使います。牡蠣の殻や真珠貝の殻なども使うんですよ。
春先には肝気の巡りがスムーズにいかず、イライラしたり衝動的になったり情緒が不安定になりがちです。今回は梅干しの酸味と、いりこのカルシウムにスポットを当てましたが、通常は肝の陽を穏やかに保つためには陰を積極的に養生して、陰が陽を制御するように調えます。
春のひな祭りの頃にはよく「お寿司」が作られますが、酢の酸味・貝類の滋陰・玉子の滋陰・米の補脾益気などがおいしく美しく調和し、とても理にかなっていると感じます。
次回は、肝の養生・滋陰養血を考えた簡単な(いつもですが…)常備菜のレシピです。
お付き合いいただきありがとうございました。
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