「春は風邪」やさしく解説・風邪(ふうじゃ)とは?


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春の外因邪気を風邪(ふうじゃ)といいます。

見てのとおり、風邪(ふうじゃ)は私たちが日常よく使う風邪ひき(かぜひき)と同じ字を書きます。風邪(ふうじゃ)の引き起こす症状は、文字どおり風邪ひき(かぜひき)の症状です。


風邪の特徴と症状

風邪は、軽陽開泄(けいようかいせつ)の性質があります。

自然界で風は大空を自由に吹き渡っているので、軽くよく動き回り発散するという特徴を持つと考えます。高層マンションにお住まいの方などは実感されるでしょうが、風は高い所ほど強く吹いています。

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風邪は、頭面部や上半身、また皮膚の表面近く浅い部分に症状が現れやすいのですが、これは風が高い所ほど強いことと、風邪が体の高い位置を傷めやすいことの共通点です。

風は窓や戸をガタガタ鳴らし、時には開け放ってしまいます。人体の目・鼻・口などの感覚器官は体の上部にある窓と考えられます。また、毛穴も肌の表面に開いた無数の窓といえます。風邪が体に侵入すると、目の充血や鼻水鼻づまり、咳、のどの痛み、悪寒などがおこりますが、これは風邪によって体表近くで「気」が担当している防衛ラインが破られ、邪気の侵入をゆるしたために引き起こされます。

 

風邪は、善行(ぜんこう)・数変(すうへん)の性質があります。

善行とは、善く行く…風があちこちにすばやく移動するように、迅速に発病し症状が体のいろいろな所に移り、現れることです。

数変とは、数々に変ず…症状が変わりやすく、病気の変化が速いことです。

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ある日、昼過ぎまで元気だったのに、夕方から急に悪寒がしてくしゃみが止まらない…夜には熱が出て咳もでる、食欲もなくぐったり…早く薬を飲んで温かくしてしっかり休むと、翌日にはケロリとよくなっていたり、あるいは急性肺炎に進行したり。風邪ひきで、こんな目まぐるしい変化を経験したことはありませんか?

 

風は百病の長(かぜはひゃくびょうのちょう)です。

自然界の6つの気候変化が病気の原因となるとき、六淫邪気と呼ぶことを前回説明しましたが、この風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪のうち、風邪以外の5つは年中あるわけではなく季節性を持っています。

いっぽう、風は季節に関係なく一年中吹いています。おまけに巧みに体の表面で防衛している「気」を突破し、体内に入り込むことが得意です。ですから風邪は、他の5つの邪気を一緒に連れて体に侵入することがとても多いのです。

風邪ひきといっても季節によりさまざまな症状があり、また多くの病気を引き入れる原因となることも多いので、風邪は百病(多くの病気)の長(首謀者)と呼ばれています。

 

体内から発生する風邪・「内風」(ないふう)というものがあります。

身体内部の臓腑機能の失調や、虚衰、亢進などが原因で、風や風邪のような症状が現れます。多くの場合は肝・胆が関わる「肝風内動」(かんぷうないどう)のことを指します。

頭痛、めまい、震え、かゆみ、痺れ、痙攣、ひきつけ、知覚麻痺、失神、口眼歪斜(こうがんわいしゃ・口や目がひきつり、歪むこと)などの症状が現れます。風で揺れる震えるをイメージするような症状のほか、肝の陰陽バランスを乱し、肝が統括している筋(筋・腱・関節)を司れなくなるので、ひきつったり痙攣したり、麻痺などの症状が現れます。


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春になると花粉症や、アレルギー性鼻炎でお困りの方がいっきに増えてきます。発病因子は花粉など大気中のアレルギー物質ですが、発症までのプロセスや症状は風邪のそれとよく似ています。

中医学では、もともと体内に停滞していた水湿が風邪と呼応して発症するという考え方があります。根本的な体質改善には、停滞する水質を取り除き臓腑機能を改善する治療を施しますが、表面的に現れる症状に対しては、風邪の治療をベースに考えます。風邪ひきだけでなく、花粉症などを見ても「春は風邪」を実感します。

 

余談ですが…小さい頃、母が「陽気がよくなったら、変な人が出てくるから気をつけや!」と、外に遊びに行く私によくいいました。ちょっと口が悪いですね!(苦笑)

春になって自然界が陰から陽に変化し、勢いよく陽気が巡り始めると、人間の体内の陽気も呼応して巡り始めます。それは、冬の間、沈静していた臓腑機能にとってはとても大きな変化です。もともと陽の性質が強く興奮しやすい肝は、気の巡りを調節するという役割があるのですが、この時期とても不安定になりがちです。陽気が過剰に頭の方に昇ると、気持ちが異常に高ぶったり衝動的になったり…と、確かにそんな様子の人を、ほかの季節より多く見かけた気がします。

きっと母も祖母からいわれたのでしょうけども、陽気が良くなったら…と、変な人が…の間にあるべき肝心な説明がすっ飛ばされていたんですね!私にとっては、「春は肝」を覚えさせてくれた、ちょっとなつかしさもあるエピソードです。

春と肝、風邪の関わりについてはいったん終わりです。また肝の病症について学ぶときに触れると思います。

お付き合いいただきありがとうございました。

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