続々「春は肝」やさしく解説・中医学からみた春の体調


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私たちのように、四季のある地域に暮らす者には実感しやすいのですが、中医学では、自然界には6つの違った季節変化があるといいます。

これを六気(ろっき)といい、風・寒・暑・湿・燥・火(ふう・かん・しょ・しつ・そう・か)に分けています。風は春・寒は冬・暑と火は夏・湿は梅雨・燥は秋(火は暑の強いもののイメージ)のように、六気はそれぞれの季節特徴でもあります。

六気は自然界の万物が成長、発育、成熟するためには欠かせない自然の変化ですが、異常気象や台風などの極端な天候不順、極端な環境で生活するなどで、体の生理機能の調節がうまくできなかったり、正気不足などで抵抗力が弱まると、六気は病気を発症する原因ともなります。

病気の原因となる六気を、わかりやすく「六淫」(ろくいん)と総称し、また病気の原因のことを「邪気」(じゃき)ということから、六淫のそれぞれを風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪(ふうじゃ・かんじゃ・しょじゃ・しつじゃ・そうじゃ・かじゃ)と呼んでいます。

それでは、春の季節特徴と六淫邪気の「風邪」についてみてみましょう。


春はどうして風・肝に通じる…なのか?

通じるとは、文字通り通じるのほか、共通点がある、影響を受けるなどの意味があります。

 

春は風

風は春の主節気です。

冬の終わり、東から強く温かい風が吹くと「春一番」「東風」(こち)と呼び、春が訪れる合図だといわれています。この風をうけて縮こまっていた新芽やつぼみが緩み、冬眠していた動物が目覚めます。冬には北から冷たい風が吹いていたのが、風向きも温度も劇的に変わります。この変化に注目したことが、春と風との関係性の1つです。

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春は、枯れ野から急に緑が芽吹きみるみる地面を覆い、勢い良く伸びて花をつけ、どこからともなく虫や小動物が現れてどんどん増えるなど、目まぐるしく変化します。風も、急に向きを変えたり止まったり吹きつけたり、常に変化してじっとしていることがありません。ここにも春と風の共通点があります。

 

春は肝

春は肝の働きが盛んになります。

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春夏秋冬の四季で考えると、春は草木がいっせいに芽吹き、野生動物の多くが赤ちゃんを生みますね。静まり返った冬の自然界が目覚めて動き出し、新しい命の循環が始まるようです。

古代に自然とともに生きていた人間は、寒く、昼間が短く、食べ物も少ない冬は活動を控えて体力を温存し、できるだけ消耗しないようにして春を待ち生き延びていました。現代の私たちもその体のサイクルを受け継いでいます。

一年間よく働いた五臓は、冬になると代謝を少し落として休息し、体にとって大切な気・血・津液・精を消耗しないように貯蔵するように働きます。ところが春が来て、自然界の陰陽が入れ替わり陽がさかんになると、肝の陽気(肝気)がそれに呼応するように勢いよく全身を巡り始め、五臓の働きを活発にし代謝を高めていきます。

五臓六腑はそれぞれが陰陽を内包していますが、中でも肝は陽が強く盛んで、亢進しやすいという性質を持っています。いち早く春の陽気を感じて体内に陽気(肝気)を巡らせることから、春と肝の関係性を見出しました。

春は肝の働きが盛んになるいっぽう、肝気が亢進しすぎると不調の原因となるので、春は肝の養生を大切にします。

 

春と風邪

春の六淫邪気は風邪です。

二十四節気の中に、二至二分といわれる時期があり、最も養生をする必要があるといいます。二至とは夏至と冬至のことで、暑い夏至の頃には熱中症などに気をつけ、寒い冬至の頃には体を温めて、冬を元気に過ごせるように養生をします。

二分とは春分と秋分のことで、こちらは季節の変わり目にあたり体調管理が難しい時期なので、やはり養生が大切になります。たとえば春分は、秋から冬にかけてだんだんと気温が下がり寒さが続く「陰」が優勢の自然界だったのが、今度は日照時間が伸びて温かくなり「陽」が優勢になるというように、陰と陽が入れ替わる時期にあたります。

このように自然界の陰陽の大きな変化の時期には、体の陰陽バランスも崩れやすく、気候変化にも適応しづらくなります。人体と人体を取り巻く自然との調和が乱れると、病気の原因「邪気」が現れます。

春は比較的、風邪による疾病が発生しやすい季節です。風邪は風の特徴を持つ邪気です。目に見えない風がすばやく動き回るように、急に発症していろいろな症状があちこちに現れ、症状の変化が早く治るのも早い…次回は、「風邪」についてもっと知りましょう。

お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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