続「春は肝」やさしく解説、中医学からみた肝の働き


前回は、「肝は疏泄を司る」という難しいことばを勉強しましたね。今日も、引き続き肝の働きについてです。

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春は肝の働きが盛んになる・春は肝の養生を大切にする
肝は木に属する・風は肝に通じる

 

肝の生理機能

2.肝は蔵血を司る(かんは、ぞうけつをつかさどる)

蔵血とは、血液を貯蔵する働きと血量を調節する働きのことです。肝を別名・血海(けっかい)といいます。この蔵血という働きは、西洋医学の肝臓に対する認識と同じです。

肝は右脇腹に位置し、血液をたっぷり含み柔らかい臓器です。食肉のレバーが肝ですから、見たことがある人、触ったことがある人はわかりますね?

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肝は、安静時には血液を貯蔵し、肝の陽が興奮する状態である「肝陽上亢」(かんようじょうこう)、つまり肝の働きが異常に亢進しすぎて頭痛やめまい、目の充血などの症状がおこるのを抑えて、目の出血や吐血、不正出血、血便などの出血を防いでいます

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活動時には、全身に血を送り出し営養します。それにより、目はよく見え、耳は聞こえ、筋肉や筋、関節は円滑に動き、臓腑はよく働くことができます。

 

肝は別名「血海」といいますが、女性の生理と関わる経絡の「衝脈」(しょうみゃく)も別名・血海といいます(別のものなのに、名前が同じってややこしいですね!)。肝に血が充実していると、衝脈も血に満たされて生理が順調に保たれます。肝の疏泄を司る働きには、生殖機能を調節する働きが含まれる…と説明しましたが、この蔵血の働きもあわせて肝は生理と深く関わりを持っているのです。

どの臓腑にも陰陽があり、肝にも陰と陽がありますが、肝は陽が亢進しやすい特徴を持つ臓です。肝の陰とはまさに血のことです。よい血をたっぷり貯蔵し、プルプルとみずみずしく柔らかな状態の肝は陰が充実しており、陽の亢進を制御することができます。

 

3.肝は筋を司る

蔵血の働きによって、活動時に血が全身に送り出され組織や筋肉、筋、関節が営養されて円滑に動かせます。筋を司る…は特に筋と関節を支配することをいい、肝血が不足し営養することができないと屈伸が円滑にいかずこわばる、しびれる、つる、痙攣するなどの症状が現れてきます。

 

4.肝の華は爪に現れる

「爪は筋の余り」といい、爪の状態から肝血が充実しているかどうかを知ることができます。華とは美しい色艶や輝きのことで、肝の機能が順調でよく働いていると、爪も健康でつやつやと美しく保たれます。

 

5.肝は目に開竅する(かんは、めにかいきょうする)

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肝は経絡によって、重要な感覚器官の目とつながっています。肝血の滋養と、肝気の疏泄の働きによって目は営養されよく見えます。逆に肝血が不足すると目は乾燥し、かすんだり視力低下、めまいなどがおこります。夜盲症などにレバーを食べさせて、肝血を補い治療することがありますが、肝と目の関係をよく表していますね。(なお、中医薬膳学では臓腑機能の低下のとき、その臓腑と同じ部位を治療や養生のために食べる考え方があります)

肝は目に開竅する(かんは、めにかいきょうする)といい、これは肝は目に通じているという意味です。竅とは穴のことで、人体の重要な穴(目・鼻・耳・口・尿道・肛門)を合計して九竅と呼びます

 

6.肝の液体は涙

五臓には、それぞれが管理する液体があります。涙は、目に開竅する肝の液体です。肝気と肝精によって津液(体のよい水分)が変化したもので、目を潤し保護しています。

 

7.肝の情志は怒

五臓には、それぞれに影響を受けやすい情志(感情)があります。肝は剛強焦燥の特性があるといい、伸びやかに発散することを好む肝にとって、適度な怒りは肝気を上昇・発散させるのにはいいが、怒り過ぎはかえって肝を傷つけてしまいます。また鬱屈した感情は、肝の疏泄機能をさまたげ気の巡りを滞らせるので、やはり肝を傷つけます。

逆に何らかの原因で肝の機能が失調し、肝の陰陽バランスが崩れ、陽が過剰な状態になるとイライラとしやすく、怒りっぽくなるなどの症状が現れます。(一般的に肝の陰陽バランスが崩れると、陽の偏盛に傾きやすくなります)

 

以上が肝の働きについてでした。中医学から肝を見てみると、精神的な不安定や不眠、生理不順、食欲不振や下痢、頭痛やめまい、耳鳴り、視力低下、脇や胸の脹痛、貧血、関節や筋の屈伸不利などさまざまな症状と関係があることがわかりますね。

次回は、春の季節特徴と肝の関わりについてです。お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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