便秘には6種類ある?その原因別の解消法とは?(後編)


Alexas_Fotos / Pixabay

あなたは、毎日お通じがありますか?気持ちよく出ない、お腹が張る、痛む、お肌の調子も悪い…そんなお悩みはなんとか解消したいですね。

便秘には大きく分けて6種類あります。それぞれの原因に合った解消法を知らないと、今のままの生活習慣やお薬では、かえって体に負担がかかっているかもしれません。

前編では体にこもった熱が原因の熱性便秘証2種類と、冷えが原因の冷性便秘証についてお伝えしました。

後編は、気虚便秘証、血虚便秘証、気滞便秘証についてです。便秘の種類と原因、それらに合った解消法を知って、すっきりさわやかな毎日を送りましょう!

・中医学から見た便秘の種類とその原因

・便秘の種類別、おすすめの食薬と方剤


④気虚便秘証(ききょべんぴしょう)

【原因】

・体のエネルギー物質である「気」が不足し、排便する力が低下します。気は、虚弱体質や老化により生成不足となったり、疲労や病気、飲食の不摂生、悪い生活習慣などで消耗します。

・五臓六腑は、それぞれの働きをする気を有していますが、主に肺と(消化吸収により、飲食物から体に必要な気・血・津液を生成する臓)の気の虚衰が関わることが多いです。

・脾気が不足すると腸の蠕動運動が弱まり、押し出せない便が腸に停滞します。飲食不摂生や生活習慣で脾を傷めると、気を生成する機能はますます低下し気虚は悪化します。

・肺気が不足すると、全身に津液(体のよい水分)を行き渡らせることができなくなり乾燥します。大腸は経絡を通じて肺と表裏の関係にあり、影響を受けやすいのです。肺が乾燥すると大腸も潤いを失い、便も乾燥します。

・慢性疾患や出血、出産などにより、気は大量に消耗されます。

 

気虚便秘証は、上記のような原因で気が虚衰している人におこりやすくなります。若い人では女性に多く見られ、体の機能が衰えてくる中年以降は男女ともに増えてきます。

 

【症状】

便秘、便意はあるが排便困難、便は硬くない、排便後すっきりせず残便感がある、排便後に汗や疲れが出る、肛門の下墜感や脱肛、疲労倦怠、自汗(昼間じっとしていても汗が出る)、顔色白または萎黄、舌質淡、舌苔薄、脈虚弱など。

 

解消法となる立法・・・益気通便

気を補うことで臓腑の働きを改善し、正常な便の運行を促します。排便を促す瀉下類を組み合わせて効果を高めます。気を生成するには、主力である脾の働きを補い促進するものを使うと同時に、作られた気がスムーズに巡るよう理気の食薬も少し組み合わせます。

 

よく使う食薬

補気類・・・穀類、芋類、カボチャ、カリフラワー、キャベツ、干し椎茸、肉類、魚類、ハチミツ、吉林人参、黄耆、大棗、山薬、甘草、白朮など

瀉下類・・・麻子仁、ハチミツ、リンゴ、ゴマなど(ゴボウのような硬く消化しづらい食物繊維はかえって脾胃に負担がかかります)

理気類・・・陳皮、柑橘類の皮、ラッキョウ、エンドウ豆、ジャスミンなど(陳皮は脾に滞る湿を解消し、温め、気の巡りをよくするのでおすすめです)

利水滲湿・・ハトムギ、トウモロコシ、冬瓜、小豆、大豆、茯苓、車前子など(脾は余分な水湿の停滞により、機能が低下します。そのため利尿のより代謝を助けます)

 

方剤・・・六君子湯+麻子仁丸、補中益気湯+麻子仁丸、黄耆湯など。(六君子湯は便秘と下痢を交互に繰り返すタイプ、補中益気湯は内臓や脱肛を伴う便秘、手術後などの強く気を消耗しているタイプの便秘により適しています)

 

ポイント

気虚便秘証をひきおこす気虚症は、非常によく見られる病証です。

虚弱体質や高齢者でなくとも、ふだんから元気がない人、活動的ではない人、心身ともに疲れている人、運動不足な人、ダイエットや食事や生活習慣が不摂生な人には程度の差はあっても気虚の状態になっていることが多いです。体型も痩せ型の人や、ぽっちゃりとしたむくんだタイプの肥満の人もいます。前述のような症状以外にも、風邪をひきやすいといった特徴もあります。

気虚便秘証には強い便秘薬はおすすめできません。中医方剤のように不足を補って本来の排便機能を調えるものをすすめます。適度な運動で気の巡りをよくすると、気の生成もよくなるので休んでばかりでなく体を動かすようにしましょう。食欲も増すとさらに気の生成が高まります。


⑤血虚便秘証(けっきょべんぴしょう)

【原因】

・虚弱体質、老化などにより臓腑機能が低下すると血の生成不足になり、体を営養することができません。腸が滋潤されなくなると便も乾燥します。

・胃腸の出血、痔の出血、子宮出血などの出血性の疾患で血を失うと、血虚証となり腸が滋潤されません。

・飲食不摂生による栄養の偏り、ダイエットなどで血の生成源が不足します。

・過労やストレスなどで血が消耗します。

・生理期間中は一時的な血の不足がおき、周期性の血虚便秘になることがあります。

・産後は、出産による出血で血虚便秘になることがあります。授乳中も続くことがあるのは、乳児に母乳を与える母体の栄養が不足し血の生成が追い付かないこと、育児による心身の疲労で血を消耗することが考えられます。

血の生成不足は、気の生成不足と同様に脾胃の働きが低下していることが多いです。気・血・津液はどれも源は同じ食べた飲食物です。一般的に「気虚は陽虚になりやすく、血虚は陰虚になりやすい」といって、血の不足が続くと、血も津液も不足し体の陰陽のバランスが崩れて内熱を生じる陰虚に進行します。

 

【症状】

便秘、便がコロコロとウサギの糞のよう、顔色が白いまたは萎黄、乾燥や小じわが目立つ、動悸、めまい、生理の経血が少ない・色が薄い、手足がしびれる感じ、髪がツヤなく痩せる、舌質淡、舌苔少、脈細弱など。

 

解消法となる立法・・・養血潤腸通便

血の生成を促すとともに血液循環も盛んにして、体、大腸はもちろん臓腑を潤し正常な排泄機能や便の質を保ちます。

 

よく使う食薬

養血類・・・ホウレンソウ、ニンジン、落花生、黒ゴマ、ブドウ、ライチ、イカ、レバー、豚足、スペアリブ、カツオ、熟地黄、当帰、何首烏、桑椹など

瀉下類・・・麻子仁、黒ゴマ、ハチミツなど

活血類・・・紅花、桃仁など(作られた血をよく循環させるために少し活血類を組み合わせます)

 

方剤・・・麻子仁丸、潤腸湯など

 

ポイント

血虚便秘証をひきおこす血虚症は、血の量だけでなく質も関係します。バランスのよい栄養を心がけましょう。健康ブームの中には粗食を推奨するものもありますが、あまりにセーブすることはおすすめできません。動物性の食薬は植物性のものより補う力が強いのです。上手に取り入れましょう。ふだんから血虚体質の人は、心身の過労をなるべく避けるようにしましょう。

「血汗同源」「津血同源」といって大量に汗をかいたり、激しい下痢や嘔吐も血の消耗になるので注意が必要です。

血は陰に属し、陰の時間である夜に回復し、また臓腑・組織を滋潤します。夜更かしや睡眠不足は血にとっては問題です。良質で十分な睡眠を得たいものです。


⑥気滞便秘証(きたいべんぴしょう)

【原因】

・気の巡りが滞ると、大腸の気も滞り便を送れなくなります。胃の気も順調に流れなくなり飲食物を腸に送れず停滞しやすくなります。

・憂鬱や怒り、ストレスなどにより肝の気がのびやかに正常に流れなくなります。肝気には、脾胃の消化吸収を促進するという働きがあり、それが低下すると食べた飲食物は滞りやすくなります。

・精神的な緊張や、旅行などの環境変化は気の巡りに影響を与えやすく、気は滞ります。

・肺と大腸は経絡を通じて表裏の関係にあり、肺の病症などにより肺気が正常に流れないと(咳、喘息など)、大腸の気も停滞します。

・運動不足や、腸の手術などで腸の運動が減少すると気の巡りも停滞しやすくなります。

「気」は全身を巡るエネルギー物質です。体や臓腑を温め臓腑の位置を保ち、機能を促進し、外邪の侵入から体を守るなどさまざまな仕事をしています。便秘に関しては、主に大腸が便を運び押し出す働きと関わります。

 

【症状】

便秘、便意はあるが排便困難、便は硬く乾燥気味、お腹が張る、張って痛む、ガスが多い、げっぷ、胸や脇の張るような痛み、食欲減少、舌質淡、舌苔薄膩、脈弦、生理不順など。

 

解消法となる立法・・・行気通便

気の巡りの滞りを解消し、正常な腸の気の運行を促します。

 

よく使う食薬

理気類・・・大根、カブ、らっきょう、蜜柑、エンドウ豆、そば、刀豆、ジャスミン、玫瑰花、陳皮、枳殻、仏手柑、木香など

瀉下類・・・麻子仁、決明子(ハブ茶)など

 

方剤・・・六磨湯など

 

ポイント

気滞便秘証の原因となる気滞証は、気が正常な方向に流れず逆行したり滞ることでひきおこされます。

五臓六腑はそれぞれに気を有していますが、中でも肝は伸びやかに気が巡ることを好み、鬱滞すると機能が低下しさまざまな症状をひきおこします。特にストレスを溜めず、情緒刺激や環境変化に柔軟に対応できるよう心がけたいものです。

呼吸機能で気と深く関わる臓は肺ですが、肺は外邪の侵入を受けやすくデリケートな臓です。咳や喘息っといった肺の気の失調は大腸に影響しやすいのです。

運動不足は、気の巡りを減退させやすくなります。大腸の気も滞りがちになるので、適度な運動習慣は必要です。

「気血同行」といって、気と血は常に一緒に流れていると考えられています。気の巡りが滞ると血流も停滞しやすくなり「瘀血」(おけつ・いわゆるドロドロ血、汚血のイメージ)が生じやすくなるので注意が必要です。

瘀血は、私たちが物をぶつけて青あざができるように青黒く、さわるとひどく痛む刺痛などが特徴です。なお、血虚証でも血流が少なく緩慢になるので瘀血は生じやすくなります。どの臓腑もどの病証も互いに複雑に関わり合っているのですね!


妊婦さんの便秘について

一般的に、妊婦さんには便秘薬はなるべく使いません。

【原因】

・体内の血が子宮に集まり、腸の滋潤が不足します。

・胎児を有しているので体内に熱がこもりやすく、津液が消耗しやすくなる。

・胎児が成長すると、物理的に猪を圧迫する。

停滞している便を排泄できなければ、さらに体内に熱がこもります。体調を崩したり、胎児に熱が移行すると嬰児湿疹などの原因にもなる恐れがあります。基本的には食事療法で通便をはかりますが、効果が得られない場合は医師に相談してください。漢方薬の処方を受け改善するケースは多くあります。


前編・後編にわたり6種類の便秘についてお伝えしました。あなたに当てはまるものはありましたか?

虚しているタイプの方は、これまで強い便秘薬を使ってもあまり効果がなく、お腹も痛んで辛かったことでしょう。まずはご自分に合った食養生を取り入れてごらんになりませんか?よい排便習慣を取り戻すお役に立てると私もうれしいです!

お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL