便秘には6種類ある?その原因別の解消法とは?(前編)


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あなたは毎日お通じがありますか?一般的に毎日便通がないこと、毎日便通があっても排便に時間がかかること、便が硬いこと、排便後にすっきりしないこと、苦痛があることを含めて便秘といいます。

もし毎日便通がなく、2~3日に1回でも、排便がスムーズで便の質が良く量があり、快便であればそれは便秘ではありません。

便秘は大きく分けて6種類、その原因を知れば解消法がわかります。

・中医学から見た便秘の種類とその原因

・便秘の種類別、おすすめの食薬と方剤

あなたの便秘はどのタイプ?ご自分に合った解消法ですっきりさわやかな毎日をお過ごしくださいネ!


①熱性便秘証・・実熱便秘(じつねつべんぴ)

【原因】

・もともと陽盛体質で、体内に熱を生じやすい。陽盛体質とは一般的に元気で体格もよく、活発で食欲旺盛な人が多いです。

・飲食の不適切。お酒の飲み過ぎ、辛いもの脂っこいものの食べ過ぎで、体に熱がこもりやすくなります。

・熱の高い病症に罹っている最中や、熱性病症のあとに見られます。腸内にも熱が溜まっています。

・温熱性の薬を過剰に服用しすぎたり、長期にわたって服用したことで体内に熱を生じ、いつまでも熱がこもることがあります。

実熱便秘は、このようなことが原因で体に熱を生じ、こもることでひきおこされます。熱は腸管内の津液(体のよい水分)や便に含まれる水分も奪うため、腸の働きは低下し、便は硬く乾燥し停滞するようになります。

 

【症状】

便秘、便は乾燥して硬く排便困難、腹痛、お腹が張る、口やのどが渇き口臭がする、顔が赤く熱っぽい、ニキビなどを伴うことが多い、発熱、尿量は少なく濃い、舌質紅、舌苔黄、脈滑など。

 

解消法となる立法・・・清熱通便

清熱類で体にこもる熱を冷まし、腸管や便から水分が奪われるのを抑えます。同時に排便を促す瀉下作用を持つもの、便の質を調える繊維質を含むものを組み合わせます。

 

よく使う食薬

清熱類・・・セロリ、白菜、苦瓜、ヘチマ、大根、水菜、豆腐、こんにゃく、バナナ、メロン、ココナッツ、生地黄、牡丹皮、金銀花、山梔子、淡竹葉など。

瀉下類・・・ゴボウ、無花果、ゴマ、パイナップル、アロエ、大黄、番瀉葉(センナ)、麻子仁など。

 

方剤・・・麻子仁丸、重症のとき大承気湯、防風通聖散など

 

ポイント

ふだんから元気で胃腸も丈夫ですが、食べ過ぎたり、刺激物やお酒、味が濃く脂っこいものはほどほどに。タバコも臓腑に熱毒を与えるので禁忌です。比較的強い作用の便秘薬で解消することが多いでしょうが、常用はおすすめできません。

清熱類を中心に、あっさりとした温かく、水分豊富な食事を積極的に摂りましょう。水分をしっかり摂ろうとして、たくさん水だけを飲むことはあまり効果的ではありません。スープやお粥のような調理法や、食べ物と一緒に充分な水分を摂ることをおすすめします。

清熱類を使う熱性の便秘ですが、サラダなどの冷たい料理を食べることとは意味が違います。冷たいものの摂り過ぎはいけません。冷たいものを食べるときも、水道水くらいの温度をイメージすると分りやすいですョ。

生野菜や冷やしたヨーグルト、牛乳などを常食していると、だんだん内臓が冷えてきて気血の流れが悪くなってきます。すると大腸の働きもますます低下して、便を送り出せなくなってしまいます。


②熱性便秘・・・陰虚便秘(いんきょべんぴ)

【原因】

・もともと陰虚体質で、体内に熱を生じやすい。一般的に痩せぎみで、のぼせたり微熱が出やすい人が多いです。体のよい水分である津液や血液といった陰に属するものの不足が原因となっていることが多く、熱感は勢いよく火が燃えているというのではなく、水量が不足して空焚き状態になっているような…そんなイメージです。

・疲労、病後、熱性の病症の後期などで津液や血液を消耗していると陰虚証になりやすくなります。すると腸内も乾燥します。

・温熱性の薬を過剰に服用しすぎたり、長期にわたって服用したことで体内に熱を生じ、いつまでも熱がこもることがあります。

 

【症状】

便秘、便は小さくコロコロとしている、顔は頬のあたりが熱っぽく赤い、口が乾く、のぼせ、ほてり、盗汗(寝汗)、めまい、耳鳴り、動悸、不眠、足腰がだるい、両手のひら・両足の裏の熱感と心煩、舌質紅、舌苔少、脈細数など。

 

解消法となる立法・・・滋陰潤腸通便

実熱便秘とは違い、清熱類を使って熱を冷ますのではなく、滋陰類や養血類を使って津液や血を増やし、体に潤いを与えることで熱を鎮める方法です。

排便を促す瀉下類を組み合わせますが、あまり強い作用のものは避けて、油分を含むナッツのような種実やハチミツなど腸を潤す作用のものを選びます。

虚熱(陰虚の熱)ですが、熱感が強い時には清熱類も組み入れます。

 

よく使う食薬

滋陰類・・・松の実、アスパラガス、小松菜、ゴマ、卵、牛乳、豆乳、チーズ、ヨーグルト、貝類、枸杞子、桑椹、麦門冬、玄参、沙参、鼈甲など。

瀉下類・・・大根、ゴボウ、ゴマ、無花果、麻子仁、郁李仁、ハチミツなど。

 

方剤・・・増液湯、麻子仁丸、六味地黄丸+麻子仁丸など

 

ポイント

陰虚便秘を引き起こす陰虚証とは、津液や血が不足し臓腑の働きが虚衰している状態です。肉体的、精神的疲労を溜めないようにし消耗を防ぐように心がけます。特に汗などで津液を消耗する夏や、乾燥する秋は注意します。

津液を補う作用の滋陰類を積極的に摂るほか、血を補う養血類を摂ることもおすすめします。どちらも体の陰を補う作用で虚熱を鎮めます。

体を熱くする作用があるので、お酒や香辛料、温熱性の食薬は控えましょう。タバコも肺に熱をこもらせて傷めるので禁忌です。大腸と肺は経絡を通じて表裏の関係にあります。肺の熱や乾燥は、大腸の熱や乾燥につながりやすいのです。汗の多いとき、下痢が続くときも津液は消耗するので注意しましょう。

薬でなくても、健康や美容のために意識して多く摂っている飲食物はありませんか?体を温めるために生姜や、むくみを摂るために利尿作用のあるもの、ストレスに対して気の巡りをよくするものなどです。これらは温性や燥性が強いものが多く、長期的な服用は陰虚便秘の原因になります。

誰でも老化により臓腑機能は低下してきます。中でも肝と腎は陰虚証が現れやすい臓腑です。中医学では30才を過ぎると中年と考え、臓腑の養生をすすめます。臓腑の衰えをゆるやかにするためには、早めに養生に取り組むことが大切ですね。

便秘薬は、あまり強いものはおすすめできません。中薬方剤のように津液や血を補い、腸を潤して正常な活動を促すものをすすめます。


③冷性便秘・・・陽虚便秘(ようきょべんぴ)

【原因】

・もともと陽虚体質。老化による臓腑機能の低下で熱を作り出す力が弱い。一般的に顔色が青白く寒がり、疲れやすい人が多いです。慢性的な冷え性の人や虚弱体質の人、高齢者に多く見られます。

・体の中で作り出す陽気(熱)が少なく、腸内が冷えて働きが悪くなるため、気血の巡りも悪くなります。そのため便を進めることができません。

・冷たい飲食物で脾胃の陽気を傷めると、陽気を作り出す機能も低下し内臓も体も冷えてきます。体内に寒邪が生じて胃腸内の飲食物と合わさると停滞して便秘になります。

・長期にわたり寒涼性の薬を服用すると、胃腸の陽気を傷め寒邪を生じます。

・老化により腎が虚衰してきます。腎は二便(尿と便)を司る機能がありますが、それが低下するため尿の回数は増え、腸液は不足してきます。

 

【症状】

便秘、便意があまりない、便が硬く太くなり排便困難、尿は薄く多い、腹中冷痛、腰や背中に疼痛、冷えや寒がり温めると緩和する、顔色青白く少しむくんだようなつやがある、疲労倦怠感、舌質淡、舌苔白、脈沈遅など。

 

解消法となる立法・・・温陽通便

温裏類・助陽類、辛温解表類など臓腑や体を温める温熱性の食薬と、補気類(気は陽に属する、気の不足は陽の不足に進みやすい)を組み合わせるほか。排便を促す瀉下類、陽気をよく巡らせるために理気類も組み合わせます。

 

よく使う食薬

温裏類・・・ニンニク、ニラ、唐辛子、山椒、胡椒、黒砂糖、鮭、アジ、マス、肉桂(シナモン)、小茴香(フェンネル)、大茴香(八角)など。

助陽類・・・羊、鹿、エビ、ナマコ、クルミ、杜仲、冬虫夏草、鹿茸、淫羊藿、益智仁、紫河車(胎盤・プラセンタ)など。

辛温解表類・・生姜、白ネギ、紫蘇、桂枝など。

理気類・・・柑橘類の皮、陳皮、らっきょう、玫瑰花(マイカイカ)、大根、カブ、タマネギなど。

 

方剤・・・八味地黄丸+麻子仁丸、済川丸など

 

ポイント

陽虚便秘の慢性的な冷えには、陽虚証のなかでも腎(腎陽)の虚衰が関わっていることが多いです。腎を温めて補養することが大切です。腎が衰えると、一般的に老化現象といわれる症状が現れてきます。若い人でも虚弱体質や、生活の不摂生により腎の虚衰を早めてしまうので注意しましょう。

一般的に冷えは臓腑の機能を低下させて、気血の流れを悪くします。常に体が冷える環境にいたり、薄着や冷たい飲食を好む人は気をつけましょう。

腎は水を司る臓といわれ、水液の代謝に深く関わり最も冷えやすい臓です。にもかかわらず腎は冷えを嫌う臓でもあります。寒くなってから養生するのではなく、ふだんから気をつけましょう。

陽虚証とは便秘だけでなく、頻尿や下痢といった排泄トラブルの多い病症です。この場合も同様の食薬をおすすめします。(方剤は変わります)

次回は気虚便秘、血虚便秘、気滞便秘についてです。お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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