寝汗に微熱…腎の弁証論治⑤ 腎陰虚証


⑤腎陰虚証

血・津液・精など、陰液の不足によっておこる腎を中心とした虚熱の症候群のことです。血・津液・精は陰に属し、気は陽に属します。
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症状と分析

足腰だるい、めまい、耳鳴り、不眠、歯が動揺する、かかとが痛い→腎精が不足し、髄が生成不足になり骨や歯、脳(髄海)、開竅する器官(耳)を営養できない。

不眠、悪夢→陰が虚すと反対に陽が亢盛になる。陰が支配する時間(夜)になっても、陽が活動をやめて帰る居場所(陰)がないため、神も鎮まることができなくなる。

五心煩熱、盗汗、潮熱→陰虚の特徴的な症状。五心煩熱は両手のひらと両足の裏、心臓部に熱感があり 煩躁して落ち着かないこと。盗汗は寝汗のこと。潮熱は毎日同じ時間に発熱があること。

消痩→きちんと食べていても痩せてくること。精血が化生せず営養されない。

遺精→虚熱で精巣が盲動する。腎が虚すと腎気も不足するので、固摂機能が低下する。遺精は性行為に 関係なく精液が漏れること。

生理出血が少ない、閉経→精血不足。腎は生殖と深く関わる。

のどの渇き、尿黄、便秘→陰液(津液)が不足、尿が濃く少なくなり便も乾きぎみになる。

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顴紅(かんこう)、舌質紅→陰虚陽亢で内熱が生じる。顴紅は頬骨の辺りが のぼせたようにボゥっと赤いこと。舌質も赤味が強まり少し乾いた感じで苔も少ない、細く痩せた感じに見える。

脈細数→虚証で熱がある脈象。

 

先天不足や慢性疾患による消耗、老化、温熱性の薬や食べ物の過食などが  原因で腎陰虚証がひきおこされます。腎陰は全身の陰の本ですから、やがてほかの蔵の陰にも影響が  でてきます。また陰と陽は互いに依存しあって存在するので、陰が傷んだままだとやがて陽も虚衰   します。

立法

滋陰補腎 または 滋陰清熱補腎

 

よく使う食薬

滋陰類・・・豚肉、豚足、スッポン、亀肉、鴨肉、卵、ホタテ、ムール貝、アワビ、牡蠣、イカ、牛乳、胡麻、イチゴ、枸杞子

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桑椹、百合根、女貞子、黄精、石斛、玉竹、沙参、地黄、麦門冬など。

 

清熱類・・・小麦、粟、キュウリ、トマト、セロリ、ズッキーニ、リンゴ、 キウイ、豆腐、湯葉、牡丹皮など。

 

 


方剤

六味地黄丸・・・3種づつの「」と「」の中薬で構成されています。補は熟地黄(微温性・養血滋陰)、山茱萸(微温性・補益肝腎)、山薬(平性・益気養陰)。瀉は沢瀉(寒性・利水消腫)、茯苓(平性・利水滲湿)、牡丹皮(微寒性・清熱涼血)です。陰を潤す目的の方剤ですが、温性の中薬を君薬・ 臣薬にしていますね?これは温補滋陰の考え方です。また、腎は冷えを嫌う臓ですから、あまり寒涼性のもので強く冷やすことはしません。よく考えて完成されたのですね!

 

腎の病証は以上です。立法については治療というより、食養生・老化防止といえるものがほとんどです。病証でなくとも、どなたにでも老化現象はおとずれますから、症状が出るよりもずっと前から腎の養生を心がけるといいですね。ご家庭でも取り入れやすい食薬がたくさんありますよ。

次回は、腎と経絡を通じて表裏の関係にある膀胱の病証を1つお話しします。お付き合いいただき   ありがとうございました。

 

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