バランスが大事!陰陽五行で、自然・人・食を学ぶ①


およそどの文明でも、天地の始まりと明暗の分離についてが最初に語られています。

古代の人々は天地の間に立って、自身の五感だけを頼りに自然を観察し、その変化に規律があることを発見しました。そして自分たちの起源や自然や宇宙との関わりについても考えたのです。


陰陽五行学説は、陰陽学説と五行学説の総称で古代中国の自然哲学ともいえます。生命の起源や人と自然との関わり、生理機能、病理変化などについて説明し、現代でも疾病の予防・診断・治療の指針となっています。

 

PeteLinforth / Pixabay

中国神話・陰陽の始まり

磐古開天(ばんこかいてん)・・・混沌としたドロドロの卵のような宇宙の初め、最初の存在である磐古が生まれ斧で宇宙を切り裂いたとき、ドロドロの中から清軽の陽気が1日1万里の速度で上に集まって天となり、重濁な陰気が1日1万里の速度で下に集まって地となりました。その間、磐古も1日に9度も姿を変えながら大きくなり、9万里という背丈の大巨人になりました。とてつもない時が経ちやがて磐古は死に、その頭は五岳に、左目は太陽に、右目は月に、血は海に、髪は草木に、涙は川に、呼気は風に、そして声は雷になりました。このとき生じた陰陽の気によって宇宙には動と静の動きが生まれ、万物の生・長・化・収・蔵の変化が繰り返し循環しているといわれています。

原始地球の超大陸パンゲアは、中国では磐古大陸と呼ぶそうですよ。


陰陽の分け方

 

Peggy_Marco / Pixabay
Peggy_Marco / Pixabay

自然現象では昼夜や日月、明暗、晴雨、季節(春夏・秋冬)、火と水、温熱と寒涼のほか、陽気が昇る上と陰気が降りる下、日が差す南に向かい太陽が昇る左と太陽が沈む右などのように分けます。

 

事物・動態では、明るいイメージの表面や外側を陽、暗いイメージの裏面や内側を陰とし、刺激・興奮・活動・上昇・成長などの活発なイメージを陽、安静・抑うつ・遅鈍・衰退・などの状態を陰としています。

 

人体組織では、男性や体表を陽・女性や体内を陰とするほか、農耕社会では作業時にいつも日を浴びる背を陽・腹側を陰とし、上半身を陽・下半身を陰としています。また人体機能と腑を陽・人体組織と臓を陰に、体表を巡る気を陽・体内を流れる血や津液を陰と分けています。

 

食材にも体を温めるものと冷やすものがあり、生姜・ニンニク・ネギ・胡椒・唐辛子・にら・鶏肉・エビ・肉桂などは食べると体を温めるので陽、トマト・キュウリ・スイカ・苦瓜・豆腐・昆布などは食べると体を冷やすので陰に属します。

 

陰陽学説では、すべての事物は陰陽の対立する両面を持ちながら絶えず変化しつつもバランスを保っていると考え、このバランスの取れた状態を「陰平陽秘」(いんぺいようひ)といいます。

陰陽は、相互に対立しながらも制約しあいバランスをとるという関係を持ちながら、互いに依存しあってもいる。一方が存在しなければ、もう一方も存在できない…バランスが取れた「陰平陽秘」が「陰陽失調」になると疾病を招くことになるのです。

 

Clker-Free-Vector-Images / Pixabay

陰陽は互根互用とも言います。たとえば、陰である臓が健康でないと陽である腑も正常に機能しませんし、外面的な健康状態(陽)は、体内の臓(陰)が良好であることの表れなのです。陰陽は互いに依存しているのです。そして陰陽は、それぞれ陰は陽を・陽は陰を内在していると考えます。

 

また、陰陽は相互転化します。一日の時間の経過や季節変化に当てはめると分りやすいですが、陰陽は常に一定の増減変化を繰り返していて、陰が極まると陽に転化(変化)し、陽が極まると陰に変化します。たとえば季節で、春から陽気が生長し夏至で陽が極まったのちは、秋に向かって陽気が衰退し逆に陰気が生長します。

夏至と冬至が陰陽転化をし始める日とすれば、春分・秋分は陰陽の量の変化ではなく、質の本格的な変化となり、慢性病の人は変化に対応できず体調を崩しやすいとされます。

 

病理変化では、陰と陽がそれぞれ偏って盛んになってしまうとき、偏って衰弱してしまうとき、互いに依存しあうことができずに両方が衰弱してしまうときに分け、診断・治療・予防について述べています。

 

ちょっと難しかったですか?中医学や薬膳学では、陰陽の表現がたくさん出てきます。またの機会に説明できたらと思います。

お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL