中医学・薬膳学の歴史③ 春秋戦国~秦の時代


前回に引き続き歴史についてです、興味深い事柄ばかりで全部書いていくと歴史ブログになりそうです!

東周~春秋・戦国~秦の時代(紀元前770年~200年頃)、多くの重要な書物が成立しました。

「山海経」(せんがいけい)は、地理・環境・伝説・珍獣・異形の神人が載っていて、当時の紀行文的な役割があったようです。巨人の国や小人の国、災いをもたらすという怪しい鳥魚獣や珍獣と挿絵、それらを食べると病気が治るなどとも書かれています。私たちから見ると、水木しげるさんの妖怪ワールドのようでおもしろく読めますし、枸杞の実など実際に治療効果のある食材が126種と、痔などの病名が38種も含まれていることが興味深いです。

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「呂氏春秋」(りょししゅんじゅう)は中医学に関する多くのことが書かれていて、気候・飲食・七情すなわち怒りや悲しみなどの情緒のことなどについて記されています。商時代の伊尹さんが「味の基本は水にある…。」と述べたことも書かれています。

「五十二病方」(ごじゅうにびょうほう)は、1973年湖南省で発掘された最古の医方書です。240種類の薬物と、疾病・治療・中薬・方剤について記録されています。

「黄帝内経」(こうていだいけい)は、歴史の①で紹介した伝説の三皇五帝時代の黄帝が、師の伎伯と問答形式で述べた内容をまとめた形になっており、中医学の理論体系をその基礎から創り上げた中医学の経典というべき重要な位置づけです。

上下18巻・81篇の半分以上に、現在薬膳学でなくてはならない食材の四気五味(体を温める、冷やすなどの作用と酸苦甘辛鹹の味)の特徴と作用、使い方などが書かれています。

「毒薬攻邪 五穀為養 五果為助 五畜為益 五菜為充 気味合而服之 以補益精気」、強い薬は邪気を除く、五穀は体を養い、果実は体を助け、畜肉は体を補益し、蔬菜は体を充実させる、四気五味のバランスの取れた食事をすることで精気を補い健康になれる。といったことがすでに述べられていて、病気に対しては治療よりも食事に気を配り、予防を大切にすることを説いています。

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また、「強い毒性を持つ薬は病の10分の6を除去するがそれ以上服用してはいけない、中程度の毒性を持つ薬は10分の7を、弱い毒性を持つ薬は病の10分の6を除去するがそれ以上服用してはいけない、毒性のない薬でも病の10分の9を除去したらそれ以上服用する必要はない、それ以降は穀類・果実・肉類・野菜を食べて、正気を養い調えて邪気をすっかり取り除く。」とも記述があり、薬は体の正気を傷めないよう適量を使い、食を重視する考え方が表れています。

ところで先に紹介した「山海経」には黄帝さんの子孫が登場しており、「彼(黄帝)は戦をしたりして不摂生な生活をしたから800歳までしか生きられなかった。」…のようなことを述べていて、ひぇ~!と驚いたことを思い出しました。

私たち現代人はあまり自分の体のことについて知ろうとはせずに、病気になってしまってからは一方的に医師や薬に頼り切ってしまいがちですが、ふだんから食生活を含めた暮らし方に気を配り「治未病」を心がけたいものですね。紀元前の人たちが残してくれた教えに本当に感謝です!


この時代の伝説の名医扁鶺(へんじゃく)さんは、春秋時代・秦国の越人といわれます。非常に医療技術に優れた人で後の医師らの手本や目標とされました。遊医として諸国を巡り多くのエピソードを残しています。

起死回生の由来は扁鶺さんからです。ある日、お産で亡くなった若い産婦の葬列に遭遇したとき、棺から血が流れ落ちているのを見た彼は棺を下ろさせて亡骸を診察し、意識を回復させた…というものです。もうダメだ!どうにもならないという所から奇跡的に復活するようなたとえの元になりました。

扁鶺さんの著作と言われる「難経八十一難」(なんぎょうはちじゅういちなん)は病理・生理・診断・治療などについて詳しく書かれていて、黄帝内経にも匹敵するような貴重な内容だとされています。

病膏肓に入るもこの頃のエピソードが由来です。扁鶺さんかどうかは不明ですが、2人の子供に化けていた病魔が、ある村に名医がやって来ると聞きつけてとり憑いていた男の体の奥深くに逃げ込みました。膏肓とは心膜や横隔膜の奥深くのことで、ここまで病気が入り込むと助からないといわれていましたから、残念なことに男性は亡くなったそうです。いまでは病が重くなることのたとえです。

この時代、現代のカルテに当たる医案も作られました。

やがてによって戦乱の諸国は統一され、始皇帝が絶大な権勢をふるいます。文化・貨幣・文字などが統一されたことで国家はますます繁栄してゆきます。

 

歴史については一旦お休みです、次回は漢の時代からです。お付き合いいただきありがとうございました。

 

歴史についての過去記事をご覧いただくには、下記からどうぞ💛

http://saikoko.com/2016/10/03/中医学・薬膳学の歴史①/

http://saikoko.com/2016/10/04/中医学・薬膳学の歴史②/

 

 

 

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